- 2009-10-25 (日) 15:42
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秋の気配である。大気は清澄。空が青い。その青い空に、柿の木が腕を伸ばす。枝を伸ばす。そして小枝の先で、柿の実があざやかに色づいていく。
こどもがそれを欲しがる。樹にのぼって及び腰。竿をやたらとふりまわす。だがそうたやすくはもぎとれない。柿の実は、小枝の先にしっかりとつながっている。その小枝は中枝に、中枝は大枝に、またその大枝は、幾星霜の年輪をきざむ樹の幹に、がっしりとくいこんでいる。そしてその樹の幹は、不動の大地に深深と根をおろしているのである。
小枝だけで実がなるわけではない。枝から幹へ根を通じ、いわば大地の力が実をならしているのである。
柿の実を仰ぎ見て、その見事さに感嘆するのもよいけれど、同時に足もとの大地をもまた見定めて、その広く深い無限の力にも思いをひそめたい。
いわゆる枝葉末節にとらわれて、大地の力を思わぬ姿は、こどもがやたらと竿をふりまわす姿に似ているともいえよう。お互いにこんな思いで、今一度我が身を振り返ってみたい。
松下幸之助 (続 道をひらくより)
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